2020/02/19

トレーディングカードゲームのカード使用時のコスト





1993年に【マジック:ザ・ギャザリング】が発売されて以来、様々なトレーディングカードゲームが作られてきました。

自分でカードを組み合わせてデッキを作り、対戦を行うトレーディングカードゲームでは、たいていの場合カードを無制限に使えるわけではなく、コストを支払ってカードを使うことになります。

この記事では様々なトレーディングカードゲームでの、カードプレイ時に支払うコストについてまとめてみました。

いくつかリビングカードゲームを紹介しています。リビングカードゲームというのは、セットを購入すると、そこにすべてのカードが入っている形式のデッキ構築カードゲームです。

マジック:ザ・ギャザリング

世界で一番最初に発売されたトレーディングカードゲーム。

マジック:ザ・ギャザリングではカードを使用するのにマナを支払わなければなりません。マナには「白」「青」「黒」「赤」「緑」の5色あり、カードごとに決まった色、決まった数の支払いが必要です。

マナを生み出すには、土地という種類のカードを使用します。土地カードは、1ターンに1度だけ手札から場に出せます。場に出ている土地は1ターンにそれぞれの土地に見合った色のマナを1つ生み出せます。

マナを生み出すためのカードが、通常のカードと完全に分かれているため、手札に土地がこなくてカードが使えない、手札に土地しかこなくて何もできない、といった状況がわりと発生します。また、マナは必要数あるのですが、色が揃わなくてカードが使えないという場合もあります。

最初のトレーディングカードだけあって、システム的に手札事故に対する解決は用意されていません。

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ポケモンカードゲーム

ポケモンカードゲームのカードには、「ポケモン」「グッズ」「サポート」「スタジアム」「エネルギー」の5種類があります。

サポートとエネルギーは1ターンに1枚まで、進化ポケモンは進化前にいないと使えない、といった制限はありますが、カードを使うだけならコストは必要ありません。

ポケモンカードゲームでコストが必要になるのは、ポケモンがワザを使う時です。

1ターンに1枚、エネルギーをポケモンにつけられるのですが、そのエネルギーがワザを使うのに必要な枚数ついていなければ、ワザは使えません。エネルギーには「くさ」「ほのお」「みず」「かみなり」「ちょう」「とう」「あく」「はがね」「フェアリー」と9種類あり、ワザごとに必要になるエネルギーのタイプは異なります。

マジック:ザ・ギャザリングと同じく、コスト用のカードとそれ以外が分かれていて、その上ポケモンごとにコスト用のカードが必要となるので、システム的にはマジック:ザ・ギャザリング以上に事故が起きやすくなっています。

ポケモンカードゲームでは事故が起きにくくするための対処として、優秀なドロー、手札入れ替え、山札サーチ、捨て札利用を大量に用意しています。ワザ以外にはコストがいらないこともあり、これらのカードによって事故率を下げられます。

ただこの方式では、山札のサーチや山札のシャッフルが頻繁におきるため、ゲーム時間が長くなるという短所があります。また事故率をさげられるかどうかが他のゲームよりもデッキの構成に依存しています。

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遊戯王

遊戯王のカードは大きく分けて、モンスターとそれ以外です。モンスター以外のカードは使用するのに制限はなく、1ターンに何枚でも使えます。

モンスターカードは1ターンに1枚出せます。また、高レベルのモンスターを出すためには、場に出ているモンスターを生贄にする必要があります。

高レベルモンスター以外はコストがいらないこともあり、なにもできないという事故はあまりおこりません。ただ、呪文にコストがいらない分、コンボがつながりやすく、システム的に1ターンキルが産まれやすくなっています。また、コンボがつながり続けて、1プレイヤーの操作が長引く可能性も高いという弊害があります。

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デュエル・マスターズ

デュエル・マスターズはマジック:ザ・ギャザリングと同じ会社が開発しただけあって、マジック:ザ・ギャザリングの発展形ともいえるシステムになっています。

「光」「水」「闇」「火」「自然」の5色のカードがあり、カードを使うにはそのカードの色を含むマナを支払う必要があります。

ここまではほぼマジック:ザ・ギャザリングと同じシステムです。しかし、デュエルマスターズでは、マナを生み出すカードと通常カードが分かれていません。どのカードもマナを生み出すカードとして使えるようになっています。

そのため、必要な色のマナが出せない場合や高コストのカードしか手札にこないといった事故は起きますが、マジック:ザ・ギャザリングのように、土地がこない、土地しか来ないといった事故は起きず、事故率がかなり軽減されています。

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ヴァイスシュヴァルツ

ヴァイシュシュバルツでカードを使うために必要なものは、レベルとストックそして色です。

ヴァイシュシュバルツではダメージを受ければ受けるほどレベルが上がり、レベルが4になると敗北します。ダメージやレベルはカードで表し、ダメージゾーンやレベルゾーンにあるカードの色と同じ色のカードが使えるカードとなります。ストックは攻撃する際に貯まります。マジック:ザ・ギャザリングとは違い、ストックに使ったカードは使用するとなくなります。

これにより、ゲーム後半になればなるほど強いカードが使えるようになっていて、劣勢な方が早く強いカードが使えるというゲームシステムになっています。なので、事故が起きたとしても、なにもできずに負けるということは起こりにくくなっています。また、カードを使わなくても1ターンに3枚カードをドローできるため、手札のめぐりもはやく、事故を挽回しやすくなっています。

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カードファイト!!ヴァンガード

カードファイト!!ヴァンガードのカードはすべてグレードという値を持ちます。グレードは0~4まであります。

ゲーム開始時にグレード0のカードを1枚選び、場に出しておきます。このカードはヴァンガードと呼ばれる特別なカードになります。ヴァンガードは1ターンに1度、1グレード高いカードを上に置くことでパワーアップできます。

このゲームではカードを使うのにコストは必要ありません。ヴァンガードのグレード以下のカードなら1ターンに何枚でも使えます。

カードファイト!!ヴァンガードでの一番の事故は、自分のヴァンガードをパワーアップできない場合です。ヴァンガードのグレードがあがらなければ、ほとんどのカードが使えないからです。

マリガンルールとして、ゲーム開始時の手札を好きな枚数交換できるので、ある程度事故の確率は下げられています。

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バトルスピリッツ

バトルスピリッツではカードを使うのにコアというものを支払います。コアはゲーム開始時には4つあり、1ターンごとに1ずつ増えていきます。コアはカード使用時だけではなく、カードを強化するのにも使えます。コアをカードの上に移動することで、カードのレベルを上げ強化できます。

カード使用時の支払いコストは一定ではなく、フィールドのあるカードに使いたいカードと同じシンボルがあるなら、支払うコアを一定数まで軽減できます。

支払コスト軽減があるため、同一色のカードでデッキを作った方が効率が良くなるシステムとなっています。

使えるコアは、必ず1ターンに1つ増えるので、コスト基盤で事故が起きることはありません。手札に高コストカードばかりや、特定のタイプのカードばかりが来た場合のみ手札事故となります。

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フィーチャーカード バディファイト

バディファイトでのカード使用のコストは、ゲージというものです。

ターンの最初にドローを行い、その後手札を置くことで、1ターンに1枚ゲージを増やせます。また、ゲージを増やした場合は1枚ドローでき、何もカードを使わなくても1ターンに2枚カードが引けます。支払ったゲージは捨て札となり、何度も使えないシステムです。

すべてのカードにゲージを支払う必要があるわけではなく、1部の強力なカードのみゲージを支払うようになっていて、ゲージを支払って必殺技を使うようなイメージになっています。

ただし、ゲージの支払いがないからといって、モンスターを何体でも召喚できるわけではありません。モンスターは最大で3体までで、さらにフィールドのモンスターが持つサイズの合計が3以下になるようにしなければなりません。

また、デッキを組むのにも制限があります。デッキを組む前に、ワールドを選び、そのワールドで使えるカードのみデッキに入れられます。

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ハースストーン

ハースストーンはデジタルトレーディングカードゲームです。

ハースストーンでは、カードを使う時にマナを支払います。使えるマナは1ターンに1つずつ増えていき、最大で10まで増えます。バトルスピリッツと同じく、コスト基盤で事故が起きることはありません。

ハースストーンでデッキを組むのには制限があります。自分の選んだヒーローが使えるカードと共通のカードのみでデッキを組まなければなりません。

他のデジタルトレーディングカードゲームのシャドウバースやドラクエライバルズなども同じシステムになっています。

ハースストーン pc版はこちら
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ブルームーン

ブルームーンはトレーディングカードゲームではなく、リビングカードゲームなのですが、デッキ構築を行い対戦するということで紹介します。

ブルームーンでは、カードプレイ時にコストというのは一切ありません。使えるタイミングであれば、制限なく好きなカードを使えます。

ゲームのルールが、交互にカードを出して、相手より大きい数字が出せなくなった方がその戦闘で負けとなります。その際に、勝てば+1,負ければ-1のポイント増減があり、+4になった方がゲームに勝利です。

そのため、強いカードを出さなくても勝てるのであれば、温存しておく必要があり、またリビングカードゲームであるため、強いカードの枚数も決まっています。

その関係でコスト支払がまったくなくても成立しています。

ただし、デッキ構築には大きな制限があります。ベースとなる種族以外のカードは、きまったコスト分までしかデッキに入れられません。そして、強いカードほど大きなコストになっているため、デッキに強いカードばかり集めることができなくなっています。

ライナー・クニツィアのブルームーン amazon リンク

アンドロイド:ネットランナー

アンドロイド:ネットランナーもリビングカードゲームです。マジック:ザ・ギャザリングと同じゲームデザイナーの作品です。

対戦型のゲームですが、コーポとランナーに分かれ、それぞれ違うルールでゲームを行います。

それぞれルールは違うのですが、コーポもランナーもカードを使うにはクリックとクレジットを支払います。コーポはターン開始時に3クリック、ランナーはターン開始時に4クリックもらえます。

クリック消費のみで使用できる基本アクションというものがあり、カードを引いたり、クレジットを得たり、などがカードを使わなくても行えます。もちろんカードを使ったアクションよりは弱いのですが、手札が悪くても何もできないということはありません。

このゲームもブルームーンと同じく構築には大きな制限があります。選んだコーポやランナーのカードと、共通カード以外のカードをデッキに入れるにはコストがかかり、一定コスト以内までしかデッキに入れられません。

ブルームーンと同じく、各陣営の強いカードばかりを集めたデッキは作れなくなっています。

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まとめ

デッキ構築ゲームなので、デッキの構成によって手札事故の確率はことなります。それにどんなにバランスの良いデッキを作ったとしても、運が悪ければ事故が起きる可能性はあります。

カードを使うのにコストがあるなら、コストが払えない手札ばかりが来る可能性があるため、コストのないゲームよりも事故が起きる可能性は上がります。

しかし、単純にコストがなければ良いという問題でもなく、コストがない場合はコンボがつながりやすく、カードの能力に制限をかける必要があります。

また、コストに種類があり色事故が起きる可能性のある、マジック:ザ・ギャザリング、ポケモンカードゲーム、デュエル・マスターズのようなゲームでは、それぞれの色に対応した複数のデッキが作られやすくなります。

コストに種類がない場合、強いカードしか使われないという状態を防ぐため、デッキで使えるカードに制限を入れたり、カード同士に強いシナジーを入れて、同時に使うと得になるカード群を複数作るなどで、複数のデッキが使われるようにされています。

リビングカードゲームはまた少し特殊になります。デッキに使える強いカードの枚数が決まっているため、カードの強さとコストが見合っていなくても何とかなります。ゲームシステムにもよりますが、ゲーム中最強カードがコストなしで使えるとしても、ゲーム中に絶対1度しか使えないならバランスは大きく崩れません。

事故が起きやすいシステムだからといって、事故が起きないゲームより劣っているかというとそうでもないのですが、手札事故が起きてしまうと、どうしてもゲーム自体の楽しさは損なわれるので、新しいゲームほど、コスト基盤で事故が起きにくいようなシステムになっています。

個人的にはデュエル・マスターズのコストシステムぐらいがバランスがいいんじゃないかと思います。